がんの早期発見の技術進化、そして外科手術や放射線治療といった局所療法の進歩により、近年 初期がんの改善率は飛躍的な向上を見せています。
しかし、進行が進み、転移が疑われるガンや 転移が広がってしまったがんについては、治癒率・改善率も大きく低下してしまうばかりでなく、治療法も抗がん剤を組み合わせた全身療法となり、副作用による肉体的ダメージが大きくなるのが現状です。
そこで近年、三大治療法のデメリットを補うために、積極的に取り入れて行こうという機運が高まりをみせている治療法が 補完医療(代替療法) です。
補完医療とは〔西洋医学による治療のデメリットを補う医療〕と位置づけられています。
また、〔従来の治療法に替わる療法〕のことを代替療法とよびます。
「代替療法」という呼びかたは、主にアメリカで使われてきた言葉で、ヨーロッパでは「補完医療」と呼ばれていますが、日本では厳格に区別されてはいません。
補完医療、代替療法、または 補完代替医療 のことを総じて「現段階では通常医療と見なされていない、様々な医学・健康管理システム、施術、生成物質など」と定義しています。
WHO (世界保健機構)によると、現在、医学的な論拠が認められる補完医療は世界におよそ 100 あるといわれ、その中で、がんに対しての実績が認められる代表的な療法には、
などがあげられ、人間が本来もっている治癒力を引き出すことで病気を治そうというのが基本的な考え方になっています。
これらの中には、一見 非科学的であり、西洋医学を実践する医師にとっては受け入れがたい内容のものも存在しますが、現在では、その作用メカニズムや有効性が科学的に証明されているものが急増しているのも事実です。
これまで 補完医療は、西洋医学による治療の限界を補う医療、あるいは西洋医学に替わる医療と位置づけられ、西洋医学とは異なるものとして扱われることも多かったのですが、近年 医療従事者の間では、補完医療の効果が見直され、西洋医学と組み合わせることによって相乗的に効果を挙げていこうという機運が高まりを見せています。
このような取り組みの結果、期待されるメリットとしては、
ということ などが挙げられます。
この、西洋医学と補完医療・代替医療を組み合わせる治療法は 統合医療(Integrative Medicine:インテグレイティブ・メディシン)と呼ばれ、現在 がん治療法の選択肢の一つとして注目されています。